当院でみている脳神経内科の主な病気
脳卒中
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、突然脳の機能が障害される病気の総称です。日本で最も多いのが脳梗塞で、脳卒中の7割を占め、次いで脳出血が2割、くも膜下出血が1割といわれています。脳梗塞で脳の血管が詰まると、急に手足が動かなくなったり、感覚が麻痺したりします。また、言葉がうまく話せない、話が理解できない、意識がなくなるなどの症状が起こることもあります。脳出血は、頭痛があることがほとんどです。手足に力が入りにくい、ろれつが回らない、顔がゆがむといった症状が急に現れてきます。くも膜下出血は、急にハンマーで殴られたような激しい頭痛が生じます。出血量が多い場合、意識を失ったり、手足の脱力が生じたりします。
当院では、大学病院において、血管内治療による超急性期治療から急性期の全身管理、原因検索、リハビリテーション、さらに脳卒中専門外来での再発予防・リスク管理まで、長年にわたり脳卒中診療に携わってきた医師が診療を行っています。
総合内科専門医・脳卒中専門医・脳神経超音波検査士の資格を有しており、内科的視点から全身管理を含めた再発予防(一次予防・二次予防)に取り組んでいます。
用賀や世田谷区周辺の基幹病院から退院された後の「かかりつけ医」として、また脳卒中のリスクが心配な方の相談窓口として、専門的な医療を提供いたします。
主な診療内容と専門検査
1. 退院後の継続治療と内科的リスク管理(二次予防)
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- 抗血栓薬(抗血小板薬・抗凝固薬)の継続処方・調整: ご自宅や施設への退院後、患者様の状態変化や出血リスクを見極めながら、最適な薬物動態コントロールを行います。
- 徹底した生活習慣病管理: 脳卒中の最大の引き金となる高血圧、糖尿病、脂質異常症を厳格に管理します。院内での「HbA1cの即日検査」などを用い、迅速かつ精緻にリスクを抑え込みます。
2. 認定脳神経超音波検査士による「頸動脈エコー・経頭蓋超音波検査」
当院では、資格を持つ医師が自ら以下の専門的な超音波(エコー)検査を行います。
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- 頸動脈超音波検査: 動脈硬化の指標となるプラークの性質や狭窄度を詳細に評価します。内頚動脈狭窄症に対するステント留置術(CAS)後や内膜剥離術(CEA)後の厳密なフォローアップも可能です。
- 経頭蓋超音波検査(心内シャント検索): 原因不明の脳塞栓症の原因となり得る、卵円孔開存症(PFO)などの心内シャントを検索する特殊なエコー検査にも対応しています。
3. 提携医療機関と連携した「脳MRI継続フォロー」
メディカルスキャニング等の近隣高度医療機関と緊密に連携し、定期的な脳MRI・MRA検査をスムーズに手配します。
無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)、脳動脈狭窄、未破裂脳動脈瘤などの画像変化を継続的に追跡し、見落としのない予防管理を行います。
4. 脳卒中後の日常生活・生活期に関するご相談(地域連携)
脳梗塞や脳出血後の手足のつっぱり(痙縮)、しびれ、めまいなどの後遺症のコントロールだけでなく、退院後の生活期における療養生活のお悩みにも親身に寄り添います。
地域のケアマネジャー、訪問看護・訪問リハビリステーション、介護施設とも緊密な連携(病診・多職種連携)を取りながら、多角的にサポートします。
原因不明脳梗塞や卵円孔開存証について
近年、脳梗塞全体の70%を占めるラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の3大病型や脳動脈解離や脳血管攣縮などに含まれない原因不明の脳梗塞Cryptogenic Stroke/塞栓源不明脳塞栓症(Embolic stroke of undetermined source:ESUS)という概念が提唱されております。その中の一つに卵円孔開存症と言われる心臓内の孔構造が原因となる方もいます。若い頃に脳梗塞を発症し、当時原因不明と言われていた方の中にもこの卵円孔開存症が関与している方がいると言われております。
この検索には経頭蓋超音波や経胸壁心臓超音波によるマイクロバブルテストでスクリーニングを行ったのちに経食道心臓超音波で詳細な構造評価を行う必要があります。過去にこの様な検査を行った方でも、検査条件によっては穴が空いているものの陰性とされている方もいます。もう一度、脳梗塞の原因について相談したい、卵円孔開存症について聞きたい、検査を行いたいなどご希望がございましたらお気軽にご相談ください。場合によっては卵円孔開存症の検索や専門治療を積極的に行っている施設への紹介も検討させていただきます。
また、脳梗塞発症後に自宅退院が叶ったものの、後遺症により生活期においてお困りごとがある方もお気軽にご相談ください。

※図 アボットメディカル社提供
頭痛
当院の脳神経内科では、脳神経内科専門医・脳卒中専門医が、慢性的な頭痛にお悩みの患者様お一人おひとりに合わせた専門的な頭痛外来を行っています。
頭痛は日常的に起こる頭痛(一次性頭痛)と、脳の病気などが原因で起こる頭痛(二次性頭痛)に分けられます。
普段感じるつらい頭痛(一次性頭痛)
ストレス、生活習慣、天候(気圧の変化)、姿勢などがきっかけで起こる頭痛で、主に以下の3つに分類されます。それぞれの原因に合わせた適切な治療薬の選択が重要です。
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- 片頭痛: 脳の血管の拡張や神経の炎症で、ズキズキとした激しい痛みが起こります。光や音に敏感になる、吐き気を伴うなどの特徴があります。
- 緊張型頭痛: 首や肩の筋肉が緊張し、血行が悪くなることで頭が締め付けられるように痛みます。デスクワークや姿勢の悪さが原因となることが多い頭痛です。
- 群発頭痛: 片方の目の奥が激しくえぐられるように痛む、極めて強い頭痛です。
当院の頭痛外来では、一般的な鎮痛薬(ロキソニンなど)で効果が出ない方はもちろん、「頭痛薬を飲む頻度が多くて困っている方」を対象に専門的な治療を行っています。
※鎮痛薬を月に10日以上服用している場合、薬の飲みすぎによってかえって頭痛が引き起こされる「薬剤乱用頭痛」の状態になっている可能性があります。当院では、適切な予防薬を導入することで、鎮痛薬に頼らない生活を目指す治療に力を入れています。
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- 急性期治療(発作を抑える薬):
従来のトリプタン製剤に加え、血管を収縮させない新しいタイプの発作治療薬(レイボーなど)も処方可能です。
- 予防治療(従来の予防や最新のCGRP関連製剤):
近年、片頭痛の原因物質をブロックする画期的な新薬が次々と登場しています。当院では、月1回の注射による予防薬(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)を取り扱っているほか、発作治療と予防を兼ね備えた最新の飲み薬(ナルティーク)や、1日1回の内服による新しい片頭痛予防薬(アクイプタ)など、すべての最新薬による治療を導入しています。
生命に関わる危険な頭痛(二次性頭痛)
脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など、放っておくと命に関わる頭痛です。
「今までに経験したことのない激しい頭痛」「急激に始まった頭痛」「手足のしびれや麻痺を伴う頭痛」がある場合は、速やかな診断が必要です。当院では脳卒中専門医が迅速に判断し、高度医療機関(MRI・CT検査等)と緊密に連携して命を守る体制を整えています。
用賀駅近くや砧公園周辺で、長引く片頭痛や肩こり頭痛、また「市販の痛み止めが手放せない」とお悩みの方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。オンライン診療にも対応しております。
認知症
認知症とは認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。アルツハイマー型認知症が認知症の中で最も多く、脳神経が変性し脳の一部が萎縮していく過程で生じてきます。もの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。次に多いのが脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)による血管性認知症です。障害を受けた脳の部位により症状が異なります。ゆっくり進行することもあれば、急速に進むケースもあります。幻視や手足が震えたり歩幅が小刻みになったりする症状が現れるLewy小体型認知症などもあります。
年齢のせいだと思っている「もの忘れ」の中には、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などの初期症状、またはその一歩手前のMCI(軽度認知障害)が隠れていることがあります。
当院の脳神経内科では、脳神経内科専門医が丁寧にお話を伺い、患者様への心理的負担を最小限に抑えながら、ごく初期の変化も見逃さない緻密な検査体制を整えています。
当院で可能な「もの忘れ」の各種専門検査
従来の標準的なテストから最新のデジタル技術まで、患者様の状態に合わせて最適な検査を組み合わせて評価を行います。
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- 各種簡易心理検査(対面テスト):
当院スタッフが対面で優しく行う、各種心理検査に対応しています。
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- HDS-R(長谷川式)/MMSE: 認知機能全体を総合的に評価する標準的なスクリーニング検査です。
- MoCA-J: 通常の検査では見つかりにくい、ごく初期のMCI(軽度認知障害)を高い精度で捉えることができる検査です。
- FAB: 怒りっぽくなった、計画が立てられないなど、前頭葉の機能低下を詳細に評価するための検査です。
- 最新の認知機能検査プログラム「ミレボ®︎」の導入:
日本初のアイトラッキング(視線計測)技術を用いた検査プログラムです。タブレットの画面を「約3分間見つめるだけ」で、認知機能の状態を定量的かつ客観的にスコア化できます。従来の問診テストのように「質問に答えられないストレス」や「難聴による聞き取りづらさ」がなく、お呼び出しの待ち時間などを利用して非常にスムーズに実施可能です。
- 提携医療機関によるMRI-VSRAD:
脳の萎縮の度合いをMRI画像からコンピューター解析するシステムです。当院で手配し、提携する高度医療機関でスムーズにMRI撮影を行うことで、目視では分かりにくいごく初期の脳の健康状態を正確に判定します。
最新の「抗Aβ(アミロイドベータ)抗体薬」を見据えた診療と病診連携
現在、アルツハイマー病の進行を根本から緩やかにする最新治療薬(抗Aβ抗体薬)が登場し、治療の選択肢が大きく広がっています。
この最新薬の効果を最大限に引き出すためには、MCI(軽度認知障害)や認知症のごく初期段階での正しい診断が不可欠です。
当院では、各種心理検査やミレボ、VSRAD等で早期発見・早期診断を行い、抗Aβ抗体薬の治療適応があると判断した場合には、スムーズに投与対応の大学病院や基幹病院(専門医療機関)へとご紹介・橋渡しをいたします。
「最近、同じことを何度も聞くようになった」「物の置き忘れが急に増えた」など、ご自身やご家族の様子で少しでも気になることがございましたら、当院へお気軽にご相談ください。
パーキンソン病
パーキンソン病は脳の黒質という部分に変性が起こり、ドパミンの量が低下することによって起こる病気です。パーキンソン病の4大症状に、手足がふるえる(振戦)、筋肉が固くなる(筋固縮)、動作がゆっくりになる(無動)、転びやすくなる(姿勢反射障害)があります。また、便秘や起立性低血圧などの自律神経障害、嗅覚障害、レム睡眠行動障害、むずむず脚症候群、抑うつや幻視などの精神症状を合併することも知られています。50歳以上で発症することが多く、早期に適切な治療を開始することで、長期間にわたり症状を良好にコントロールできます。
- このような症状はありませんか?
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- 何もしていない時に、片方の手や足が細かくふるえる(静止時振戦)
- 歩くときに足が出にくくなる、歩幅が小さくなる(小刻み歩行)
- 身体の動きが全体的に遅くなる、動作が鈍くなる(動作緩慢)
- 筋肉が硬くなり、身体がスムーズに動かない(筋固縮)
- 専門医による薬物加療と生活サポート
当院では、ドパミンを補うお薬(レボドパ製剤など)をはじめ、患者様の症状や年齢に応じた最適な処方を行います。また、リハビリテーションの継続や、指定難病(難病医療費助成制度)の申請手続きに関しても、脳神経内科専門医として親身にサポートいたします。
てんかん
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することで、けいれん、意識障害、高次脳機能障害などを発作的に起こす「てんかん発作」を繰り返す病気です。原因疾患が見つからない特発性(一次性)のてんかんと、脳梗塞・脳出血、脳腫瘍、脳炎など脳の病気が原因となっている症候性(二次性)のてんかんがあります。てんかんの診断で最も大切なのは発作のタイプを知ることです。発作症状、発作の起きやすい時間帯・状況、発作頻度など、患者様だけでなく発作を目撃した方からも情報を聴取する必要があります。治療は、抗てんかん薬により発作が起きないように興奮を抑えることが基本となります。
当院の脳神経内科では、成人期以降の発症や、近年非常に増えている「高齢者てんかん(脳卒中の後遺症や認知症に伴うもの)」などで、すでに他院で診断がついている患者様の「継続処方」や「日々の体調管理」を中心に行っています。
- 見逃されやすい高齢者のてんかん発作
高齢者のてんかんは、激しいけいれんを起こさないことが多く、「急にぼーっとして返事をしなくなる」「口をもぐもぐさせる」といった症状が特徴で、もの忘れ(認知症)と誤認されがちです。
- 継続処方と専門機関への連携
脳神経内科専門医が、安全な薬物治療の継続をサポートします。なお、当院には脳波検査の設備がないため、詳しい検査や再評価、精密な診断が必要な場合には、脳波検査が可能な専門医療機関へ速やかにご紹介・連携いたします。